【連載コラム】 テレワーク時代の受注オーダーマネジメントシステム再構築の成功の鍵(2)

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モノの流れの見える化

多くのレガシー・一般のERPシステムでは、受注~出荷の業務を「販売管理システム+WMS(倉庫管理システム)」の構成で業務運用されています。

販売管理システムは、いわゆる伝票処理ベースでのシステムであり、本質的には債権・債務の管理および会計処理に結びつけるといった商流(所有権・金銭・情報等の流れ)を視点にしています。

そのために、日次や週次、月次といった期間単位での実績管理をベースとしたバッチ処理型の業務運用となっています。

一方で、物流(モノの流れ)は、お客様の受注オーダーを完遂するために、現場で発生する様々なトラブルやイレギュラー処理をタイムリーに問題解決する必要があります。そのためには、業務担当者は「今、どうなっているか」、必要な時に必要な正確な情報がJust in Timeで必要です。

受注オーダーマネジメントに関する様々なトラブルやイレギュラー処理の代表例の 【欠品・品薄】 をあげてみます。

多くのレガシーシステムで業務運用されている企業の業務担当者は、日常的に発生するイレギュラー処理に対し、限られた時間の中で、属人的な手作業で「受注オーダーを完遂するための対処」をタイムリーに遂行するよう努力し続けています。

そこで、受注オーダーを完遂するための対処方法を整理してみますと、ダイナミックに刻々と変わるモノの流れを、全体俯瞰した入出荷時刻(予定・実績)の情報を正確かつタイムリーに把握できていることが絶対条件といえます。
業務担当者が、都度、倉庫に現時点での実在庫を電話確認するのは、時刻ベースでの正確な判断を必要としているからに他なりません。

図1 物流ネットワークでの時刻ベースのモノの流れと在庫計算(予定在庫含む)

表1 図1のタイムテーブル

すなわち、図2のように物流ネットワーク上の「モノの流れ」が、時間軸と空間軸で描写<見える化>されていることです。

図2 モノの流れの見える化

物流ネットワークで構成される全体俯瞰した在庫管理は、どの物流拠点(空間軸)に、いつ出発・到着(時間軸)するかを2次元でモノの移動や在庫状態を描写すると合理的です。

そうすることにより、論理矛盾しない時間軸での倉庫毎の利用可能な予定在庫がタイムリーにわかることが可能になります。これが実現できれば、受注オーダーを完遂するための対処の確認作業がなくなり、的確な判断による調整・手配がスピーディに行えるようになります。

業務担当者の裁量による個別のやり方で、確認・判断・調整・手配の業務が繰り返されていることが改善されないままでは、納品率の向上や在庫有効活用、在庫適正化、物流コスト削減、廃棄コスト削減といった、目標達成に向けた物流オペレーションの効率的・効果的な運用ができず成果が上がらないということになります。

これらの条件整備を放置したままでは、「業務品質の向上」や「社員満足度の向上」を掲げても精神論になりがちです。

レガシー・一般のERPシステムによる制約により、受注オーダーマネジメントの業務支援のシステム化がなおざりになっていることに危機感を持たれている方々は多数いらっしゃると思います。

「モノの流れの見える化」による「高度な判断情報のJust in Time化」の視点で、受注オーダーマネジメント業務の自動化・半自動化といった業務革新を目指して、抜本的なシステムの見直しを検討されてはいかがでしょうか。

「モノの流れの見える化」は、「テレワーク時代の受注オーダーマネジメントシステム」の基軸となるテーマであるといえます。

次回は、「高度な判断情報のJust in Time化」の視点から「時間軸の在庫管理」について考察します。