シオノギヘルスケア株式会社様 我々には”未来在庫の景色”が見えている!~受け身だった調整部門が攻めの情報発信側に転じた理由とは!?~
SHIONOGIグループでセルフケア領域を担い、一般用医薬品、医薬部外品、管理医療機器、健康食品などのヘルスケア商品の開発・製造販売を行っているシオノギヘルスケア株式会社様による、在庫管理の最適化や使用期限の管理を実現したφ-Pilotシリーズの導入活用事例です。
出荷予測 需給調整 賞味期限監視 資材展開 スマート導入
ご導入前の課題
- 誰もメンテナンスできない複雑なExcelで、業務の継続性に課題がありました
- 商品ごとにExcel1シートの構成で、250以上ある商品を俯瞰できず業務負荷が大きくなっていました
- 使用期限を加味した予定在庫の把握が不十分で、廃棄・欠品リスクがありました
対策と導入効果
- φ-Pilotにより業務標準化が進み、誰でも扱える管理体制を構築できました
- 複数商品の在庫情報を一元的に確認できるようになり、需給管理業務に関わる作業時間が半減しました
- 使用期限を加味した予定在庫の把握が可能となり、在庫管理の精度が向上しました
ブラックボックス化したExcelによる需給管理で危機感に直面
―― 早速ですが、φ-Pilot導入前の課題はどういった事があったのでしょうか?
そうですね、大きく3つの課題がありました。まず、需給管理はすべてExcelで行っていたのですが、作成者は社内におらず、既に組まれた複雑なマクロは結果として、メンテナンスができない“ブラックボックス”と化していたんです。次に、Excelが商品ごとに1シートという構成だったため、複数の商品を同時に確認することができませんでした。必要な判断をする際には多くのシートを行き来する必要があり、業務負荷は大きかったですね。最後に、以前は流通構造上、「卸売業様から小売店への出荷数量」をベースに、さかのぼる形で弊社から卸売業様への需給計算をしていたため、ズレや不具合が生じやすく、特に使用期限を考慮した正確な在庫管理が難しいという課題がありました。そのような運用では、在庫不足の兆候を見逃してしまう恐れがあり、安定供給の面でも課題が残る状況でした。
(左から)調達戦略グループ 高須様、井上様、南様、高見様

開発調達戦略部 調達戦略グループ長 高須様
――3つ目の課題についてもう少し詳しく教えていただけますか? 卸売業様をベースにした管理では、なぜ使用期限の管理が難しかったのでしょうか?
以前も卸売業様から小売店への出荷実績は共有されていましたが、どの製造ロットがいくつ出荷されたかまでは把握できず、弊社から卸売業様への出荷数量を“みなし”で推測するしかありませんでした。さらに当時は、卸売業様から先の出荷動向をベースに上流の計画を立てるという考え方が根付いていたため、実際はズレが発生しやすく、正確な製造判断がしづらい状況でした。今回φ-Pilot導入で管理ベースを「弊社から卸売業様への出荷計画」に変更し、卸売業様のPSIは参考値としたことで、ロット単位での追跡が可能となり、使用期限を加味した製造判断ができるようになりました。結果、予期せぬ在庫不足のリスクを未然に防ぐ体制が整いました。
スマート導入で早期稼働!業務時間半減の効果も!?
――課題の背景がよくわかりました。次に導入についてお伺いします。今回は、φ-Pilotを標準仕様のまま運用開始する『スマート導入』を採用されたとのことですが、実際に取り組んでみていかがでしたか?
やはり現状のExcel管理では業務負荷が高かったので、1日でも早くPSIシステムを導入したいというのは、実務メンバー全員の共通した思いでした。ですので、『スマート導入』による早期稼働は大変魅力的でした。ただ、一般的にパッケージシステムの標準仕様と現状の業務スタイルでは必ずギャップがあると思っていたので、最初は少し不安もありました。それでもフェアウェイソリューションズ社の担当の方が我々の業務運用に照らし合わせた説明をして下さったので、新しい運用にスムーズに入る事が出来たと思っています。φ-Pilotはシンプルで、PSI業務をされている方が見れば直感的に理解できる良さがあると思います。今思えば、こういった点もスマート導入を成功させたポイントだったと感じますね。
――2024年12月に稼働して約5ヵ月が経過しましたが、導入後の成果はいかがでしょうか?
真の成果が発揮されるのはまだまだこれからかと思っているのですが、先日実務メンバー全員にアンケートを取ったところ、驚く事に既存の需給管理業務に掛かる時間が約半分にまで減っていたんです。ほかにも「計算ミスが無くなった」や、「関連する帳票作成もφ-Pilot内で完結するので不要になった」などのコメントも寄せられており、業務効率が格段に上がったと実感しています。

調達戦略グループ 井上様
――業務時間半減は素晴らしいですね。
はい、それにこれまで見えにくかった需給管理がφ-Pilotを通じて各部門関係者と情報共有できるようになったことも大きな成果です。アラート機能も分かりやすく不足や期限切れを予測表示してくれるので、アラートが出たら声をかけるなど社内ではパトロールという形で相互チェックの役割になっています。
――ありがとうございました。最後に今後の展望などあればお聞かせ下さい。
今まで需給管理部門は社内(営業マーケ)側と社外(製造所)側で問題があった際の調整役のような位置付けだったのですが、φ-Pilot導入後は情報発信側に変わったと実感しています。我々には”未来在庫の景色”が見えているので、社内側や社外側に対してこちらから情報発信をすることで、事前にリスク回避が出来ていると思います。対応に追われる受け身の姿勢から、情報発信側に変わった事は会社組織として大きな業務改革になったと思います。今後も現状の姿に捕らわれず、あるべき姿を目指して挑戦を続けていきたいです。
ご導入企業様プロフィール | |
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会社名 | シオノギヘルスケア株式会社 |
本社所在地 | 大阪府大阪市 |
業種・取り扱い商品 | 一般用医薬品、医薬部外品、管理医療機器、健康食品などのヘルスケア商品の開発・製造販売 |
従業員数 | 約140名(2025年4月現在) |
URL | https://www.shionogi-hc.co.jp/ |
シオノギヘルスケア株式会社は2016年4月に塩野義製薬株式会社の薬粧事業部より分社化する形で設立し、主に一般用医薬品(OTC)、医薬部外品、健康食品等の販売を行っている会社です。
事例のポイント
- 脱・属人化したExcel
- 業務時間半減
- 廃棄ロス・欠品の低減
- 部門間の調整役から発信役へ
導入ソリューション
出荷予測、需給調整、賞味期限監視、資材展開